
教育界では『2020年』に大変革が行われます。(=2020年問題)そこで、そもそも「2020年問題ってなに?」から、「教育界の現状とこれから」、「子どもにとってベストな教育とは?」と、教育業界に携わる一人として、そして、親目線のダブルで見ていきます。
2020年問題とは?
教育界における2020年問題とは、『大学入試の変化』のことを指します。
国が、社会の様々な変化に対応できる人材を育てようと行っている教育改革の一つです。
社会の様々な変化とは、グローバル化、新興国・地域の勃興、産業構造や就業構造の転換などを指します。
グローバル化、新興国の勃興に関しては、見ての通り。
産業構造や就業構造の転換に関しては、2013年にオックスフォード大学のAI(人工知能)などの研究を行うマイケル・オズボーン准教授によって発表された論文 “The Future of Employment” が有名です。
職業の変化、働き方の変化について、もう少し詳しく見ていきます。
The Future of Emplyment これからの仕事はどうなる?
オズボーン教授によると、今後10年~20年の間に、米国の総雇用者総数のうち約47%の人の仕事がコンピュータにとって代わられる可能性が高く、下の表にある職業は90%以上の確率でロボットなどの機械に取って代わられる、とされています。
自動化の可能性が高い 主な職業 | 無くなる確率 |
---|---|
保険の査定担当者 | 99% |
クレジットアナリスト | 98% |
不動産ブローカー | 97% |
レストランの料理人 | 96% |
造形、中子、鋳造機の 作業員(金属や樹脂) | 95% |
パラリーガル 弁護士助手 | 94% |
会計士、監査人 | 94% |
小売店の店員 | 92% |
工場作業員 | 92% |
臨床検査技師 | 90% |
タクシー運転手 お抱え運転手 | 89% |
テクニカルライター | 89% |
農業従事者 | 87% |
原子力技術者 | 85% |
電子機器技術者 | 81% |
この論文が発表されたのが2013年、今が2017年なので、すでに4年たっています。実際、2013年当時と比べて、スーパーではセルフレジが増え、飲食店では調理が自動化されるお店が多くなってきています。(長崎ちゃんぽん、かつや、など)
その一方、機械に職を奪われない可能性が高い職業は、以下の通りです。ルーティーンではなく、パターン化も難しい職業が主になります。クリエイティブな仕事だったり、相手に応じて臨機応変に変える必要がある仕事が残ってきます。
自動化の可能性が低い 主な職業 | 無くなる確率 |
---|---|
レクリエーションセラピスト | 0.28% |
整備、修理工の第一線監督者 | 0.3% |
医療ソーシャルワーカー | 0.35% |
振付師 | 0.4% |
セールスエンジニア | 0.41% |
小学校教師 | 0.44% |
生地や洋服のパタンナー | 0.49% |
人事マネジャー | 0.55% |
スポーツトレーナー | 0.71% |
経営者 | 1.5% |
写真家 | 2.1% |
調達責任者 | 3% |
弁護士 | 3.5% |
コンピューター情報システム責任者 | 3.5% |
数学者 | 4.7% |
さらに野村総合研究所と、オズボーン、フレイ両氏との共同研究によると、10~20年後に日本国内601種類の職業のうち、それぞれ人工知能やロボット等で代替される確率は、日本の労働人口の約49%とされています。
そして、「アメリカの小学校に入学した子供たちの65%は、大学卒業時に今は存在していない職業に就く」by Cathy N. Davidson New York Times (August 7, 2011)と言われているように、新たに出現する仕事は出現して初めてわかるものであり、事前予測が困難であるとしています。

日本の教育の現状と変化
自動化できる仕事はコンピューターが、となると、生き残るためには、わたしたちは人間でしかできない仕事をする必要が出てきます。
それは、「想像・創造」すること。
しかし、残念なことに、今の日本の教育では「想像・創造」する力をつける訓練は行われていません。学校で子どもたちが受けている授業では、知識の詰め込みと応用の仕方がメイン。
知識詰め込み型の最たる例が、日本の入試制度です。一問一答、記述式もあるけれどその問題数はごくわずか、マーク形式で知識を問われることが多い日本の入試問題。
知識を詰め込んで、出来上がるのは機械と同じ作業ができる人間であり、決して想像力・創造力が養われているわけではありません。
将来、社会に飛び出す子どもたちが、社会に対応できる人間になるように、と国が重い腰を上げたのが、最近のことです。学校での学びを「知識詰め込み型」から「想像・創造」へと本質的に変えるために、国は大学入試制度を変えることにしました。

大学入試は、今、国公立大学を起点として変化が見られ始めています。2020年を待たずして、教育が変わりつつあります。